うどんにコシがあるのはなぜ?「コシ」の正体や弾力性の秘密を解説
うどんは和食を代表する料理で、日本人のソウルフードともいえる食べ物です。しかし、うどんとひと口に言っても、さまざまな種類のものがありますよね。特に「コシの強いタイプのうどん」と「コシの弱い柔らかいうどん」は、どちらも美味しいですが好みが分かれるものです。
ところで、この「コシ」とは、具体的にどのようなものなのでしょうか?今回は、うどんのコシが出る過程や、コシの意味を解説します。気になる方は、ぜひ最後までお読みください。
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うどんのコシとは?
「コシ」は、麺料理にとって非常に重要な要素です。コシのある麺と硬い麺が混同してしまっている方もいるかもしれませんが、コシとは硬さではなく噛んだときのしなやかさと弾力、粘りなどを指します。麺の表面と中心部分を比較したときに、表面の方が水分を多く含んでおり、中心にいくにつれて麺が硬くなっていると「コシがある」といえるでしょう。
うどんのコシが出る過程
コシは、デンプンとグルテンの絶妙な配合から生まれます。うどんのコシを出すには「足踏み」を行って圧を加えることにより、グルテンと呼ばれる成分を活性化させることが大切です。グルテンを構成する「グルテニン」と「グリジアン」という2種のたんぱく質は、それぞれ弾力性や粘りを出すという役割を担っています。これらが絡み合って作り出された「グルテン」は、多方向に生地を伸ばしてもなかなか破れません。
繰り返し踏むことで、力強いコシが生まれるうどんですが、踏みすぎてグルテンの組織が破壊されてしまうとコシがなくなってしまい、元には戻りません。熟練の経験を積んだプロだからこそ、ほどよいコシのある美味しいうどんを作れます。
うどんのコシの違いによる美味しさ
「噛みごたえのあるうどん」と「柔らかいうどん」は、それぞれに魅力があります。うどんのコシごとに、美味しさにはどのような特徴があるのか解説していきます。
コシのあるうどんの美味しさ
コシのあるうどんの魅力は、噛んだときの独特の弾力と粘りです。口に入れたときにはつるっと滑らかですが、噛むと弾力のある歯ごたえを楽しむことができます。
コシのないうどんの美味しさ
コシが弱く柔らかいうどんは、タンパク質の配合量が少ない小麦粉を使って製麺されていることも多く、ふわふわとした食感が魅力です。うどんがつゆを吸いやすいという特徴がありますが、これは麺が伸びているわけではなく、膨張してふわふわとした食感が増しているだけです。そのため、つゆを吸っても芯のモチモチとした食感はしっかりと残っています。
地域によってコシの有無は異なる
コシのあるうどんも柔らかいうどんも美味しいですが、地域によって人気にばらつきがあります。コシのあるうどんは、香川県の讃岐うどんや秋田県の稲庭うどん、長崎県の五島うどん、山梨県の吉田のうどんなどが代表的です。
柔らかいうどんは九州地方を中心に食べられていますが、日本一柔らかくてコシがないうどんといわれているのは、三重県名物の伊勢うどんです。30分〜1時間ほど茹でた柔らかくて太い麺に、たまり醤油とかつお節を混ぜ込んで食べます。日本のうどんには、コシの違いだけでなく、うどんつゆや麺の形状などさまざまなバリエーションがあり、地域の数だけうどんの種類があると言っても過言ではありません。
うどんを食べて、コシを楽しもう
本記事では、うどんのコシの意味やうどんのコシを出す工程を解説しました。うどんのコシを出すためには、根気強く足踏みをして、グルテンと呼ばれる成分を作ることが大切です。
コシのあるうどんは、日本全国の様々な地域で広く楽しまれています。うどんは、コシの有無や出汁の種類などバリエーションが豊富なので、お住まいの地域で食べられているうどん以外にも挑戦し、好みのものを見つけてみてください。