高齢者が麺類を食べにくい理由とは?食べやすくするポイントも紹介
歳を重ねると、食べ物を嚙んだり飲み込んだりする力が低下して、食事がしにくくなります。特に麺料理は人気がある一方で、固形の麺と液体の汁を同時に食べるため、食べにくいメニューのひとつです。本記事では、高齢者が麺類を食べる際のポイントと注意点を解説します。
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高齢者が麺類を食べにくい理由
高齢者が麵類を食べにくいと感じる主な理由には、以下の2つが挙げられます。
- 咀嚼力が低下するから
- 手指の筋力と動かす力が低下するから
咀嚼力が低下するから
高齢者は顎の力が弱るため、咀嚼力が低下します。麺を口の中で噛み切るのに時間がかかり、食べづらいと感じるのです。また日本では、麺類を食べる際にすする文化があります。麺をすする際は、鼻呼吸と口呼吸を喉の力で使い分ける必要がありますが、喉の力も低下している高齢者にはすするのも困難です。若い頃に比べ、咀嚼や飲み込むまでに時間がかかる点が、食べにくさを感じる大きな理由です。
手指の筋力と動かす力が低下するから
つるつると滑る麺は、食べる時にしっかりと箸で掴む必要があります。しかし、手指の筋力が低下して箸が上手に使えなくなると、麺が掴みにくくなるため、食べにくくなってしまいます。
麺類を食べやすくするポイント
高齢者でも麺類を食べやすくするコツは、以下の7つです。
- 麺を10cm程度に切る
- 柔らかく細い麺類を選ぶ
- 汁にとろみをつける
- 少し冷ましてから出す
- 具材を細切りにする
- 具材を麺と絡みやすくする
- 介護用食器を使う
麺を10cm程度に切る
麺が長いままだと、途中で噛み切れずに喉に詰まるおそれがあります。10cmを目安に、一口で収まりやすい長さに切ってから提供しましょう。
柔らかく細い麺類を選ぶ
コシのある太めのうどんは、咀嚼力が低下した高齢者には食べにくいメニューです。稲庭うどんのように、柔らかく細い麺を選びましょう。また、煮込んで柔らかくしてから提供することも大切です。
汁にとろみをつける
高齢者は唾液の分泌量が減るため、食べ物を飲み込みにくくなります。また、サラサラとした液体は気管に流れ込んでしまい、誤嚥のリスクがあります。口内の水分を持っていきやすい焼きそばは、あんかけ焼きそばにしましょう。また、うどんやラーメンはスープに片栗粉を入れるなどして、とろみをつけることで食べやすくなります。
少し冷ましてから出す
熱い料理は口の中をやけどするおそれがあります。そのため、少し冷ましてから提供することが大切です。特に、あんかけ料理は食べやすくなる一方で冷めにくくなるので、提供する前に温度を確認しましょう。
具材を細切りにする
うどんに乗っているかまぼこやワカメ、ラーメンのメンマやチャーシューなどは、箸でつかみにくく、高齢者にとって食べにくいものです。麺類を提供する際は、麺だけでなく具材も細切りにして、食べやすくしましょう。
具材を麺と絡みやすくする
具材と麺を一緒に食べづらいようであれば、卵でとじるなど具材と麺を絡みやすくすることで、食べやすくするのがおすすめです。
介護用食器を使う
手指の筋力や運動能力の低下が原因で箸が持ちにくく、麺類が食べにくい場合は、介護用食器の使用がおすすめです。麺が絡み取りやすい形のフォークや、持ちやすいように取っ手の付いたお椀などを活用して食べやすい環境を整えましょう。
高齢者が安心して麺類を食べられるように工夫しよう
うどんやそば、ラーメンなど麺類は、高齢者にも人気のメニューです。しかし、咀嚼力や嚥下力、手指の筋力が低下している状態では、食べにくくなるだけでなく誤嚥のリスクもあるため、注意が必要です。高齢者に麺類を提供する際は、食べやすい長さに切る、汁にとろみをつける、介護用食器を揃えるなど、安心して楽に食べられるように工夫をしましょう。